Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
本稿では,骨粗鬆症性脊柱障害における手術治療の位置づけを整理する.骨粗鬆症性脊柱障害の代表的疾患である骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)を中心に扱う.OVFの治療ではまず保存的治療が原則であり,多くの患者は安静・鎮痛・装具などの保存的管理で症状が改善し得る4).高齢患者においては全身状態や合併症の問題から,従来は手術治療の適応は限定的で,神経障害など明らかな手術適応例を中心に標準的開創を伴う手術が行われてきた13).しかし,近年は経皮的椎弓根スクリュー(percutaneous pedicle screw:PPS)を用いた後方固定術や,経皮的バルーン椎体後弯矯正術(balloon kyphoplasty:BKP)/経皮的椎体形成術(percutaneous vertebroplasty:PVP)などの最小侵襲脊椎手術が導入され,早期離床・早期ADL獲得を目的とした手術や,保存的治療で改善しない難治性の疼痛例に対する手術の適応が拡大しつつある4).
OVFに起因する神経障害性疼痛に対する緩和的手術として,脊髄刺激装置による除痛効果のエビデンスが蓄積されつつある(参考症例1,図 1).脊髄刺激装置は,脊椎固定術などの根治術に耐えられないような,合併症を抱えた高齢者における有望な選択肢となる5).
端的には「保存的治療では改善しない・改善が見込めない例」に対して手術が検討される.具体的には,難治性の激痛が持続する例や,神経学的障害を伴う例,骨折の不安定性が強い例では手術介入が推奨される.保存的治療への反応不良例の定義としては,強力な鎮痛下でも歩行困難な疼痛,装具・安静・リハビリテーションにも反応しない高度な疼痛,鎮痛薬の副作用で十分な投与が困難な場合などが挙げられている4).特に後壁損傷や椎体内の空洞(cleft)形成,偽関節化,不安定性を伴う例,多椎体骨折による高度後弯変形では,骨セメントなどによる椎体形成では対応困難であり,固定術を含めた外科的治療が必要となる12,21).
以上のように,本稿では保存的治療を基本としつつ,「なぜ手術が必要となるのか」「どのような病態で手術適応となるのか」という観点から,エビデンスに基づく手術治療の位置づけを整理する.

Copyright © 2026, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.

