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はじめに
近年,本邦における骨粗鬆症の薬物療法は,骨粗鬆症マネージャーなどの全国的な普及により著しく改善している19).しかし,同時に急速な高齢化も進み,骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)の発生頻度は低下しているとはいえない14).OVFは高齢者・超高齢者で軽微な動作によっても発生し,ときに急性期の激しい腰背部付近の体動時痛により患者の日常生活動作(ADL)を著しく制限するだけでなく,続発性骨折や脊柱後弯変形の進行を招き,長期的には生命予後をも悪化させる要因となることが知られている4,8,15).
OVFに対する治療は,コルセット装着や安静,鎮痛薬投与といった保存療法が第一選択である.多くの例は保存療法により骨癒合が得られ,体動時痛も軽快する.しかしながら,一部の例においては骨癒合が得られず遷延治癒,骨癒合不全に陥ったり,進行性の椎体圧潰により遅発性麻痺を呈したりする例が存在する.これらの例に対し,長期の安静臥床を強いることは,廃用症候群や認知機能の低下,誤嚥性肺炎などの合併症リスクを高めるため,特に超高齢者に対しては早期の離床と除痛を目指した外科的介入が検討される.
経皮的後弯矯正術(balloon kyphoplasty:BKP)は,低侵襲に椎体の安定化と除痛を図ることができる有用な手技として本邦でも広く普及した3,16).バルーン拡張による椎体高の復元と,低圧でのセメント充塡が可能である本法は,従来の椎体形成術(vertebroplasty)と比較して骨折椎体の整復に工夫が施せる点に加え,骨セメント漏洩リスクが低減できる点できわめて優れた治療法である2,7).
その一方で,BKPは決して万能な治療法ではない.不適切な症例選択や手技上の過信は,重篤な合併症や隣接椎体骨折などの予後不良を招く可能性がある13).本稿では,OVFに対するBKPの臨床的有用性を再確認するとともに,その適応基準を明確化し,手技的・解剖学的な限界について整理する.

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