Japanese
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特集 低侵襲脊椎手術の功罪
骨粗鬆症性椎体骨折に対する経皮的椎体形成術の功罪
Pros & Cons of Vertebroplasty for Osteoporotic Vertebral Fracture
高橋 真治
1
Shinji TAKAHASHI
1
1大阪公立大学大学院医学研究科整形外科学
1Department of Orthopaedic Surgery, Osaka Metropolitan University Graduate School of Medicine
キーワード:
椎体形成術
,
vertebroplasty
,
骨粗鬆症性椎体骨折
,
osteoporotic vertebral fracture
,
限界点
,
limitation
Keyword:
椎体形成術
,
vertebroplasty
,
骨粗鬆症性椎体骨折
,
osteoporotic vertebral fracture
,
限界点
,
limitation
pp.625-630
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201914
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はじめに
本邦では2011年にballoon kyphoplastyが保険収載されて以降,骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)に対する経皮的椎体形成術が国内で広く実施されるようになってきている.椎体形成術の安全性と有用性は多くの論文で報告されている.一般的に疼痛緩和と椎体高の獲得に有用とされている5).さらに,データベースを用いた研究では生存率を改善することも示唆されている3).一方で,Cochrane reviewでは急性期あるいは亜急性期ではその効果を支持するエビデンスに乏しいとされている.その一因として,椎体形成術後の合併症の発生や術後改善不良が考えられる.手術合併症については,セメント漏出や隣接椎体骨折が頻度の高いものとして挙げられる.重篤な合併症は1%以下と頻度はかなり低いが9),脊柱管内へのセメント漏出による神経損傷,感染症,肺塞栓症などが報告されている.セメント漏出による神経脱落症状が出現すればsalvage surgeryが必要となる.また,隣接椎体骨折に関しても骨折型が重度であれば再椎体形成術や前方後方固定術などの再手術が必要となる.本稿では,椎体形成術に特有の合併症に焦点を当て,その功罪について自験例も含めて述べたい.
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