Nomade
数字に現れない医療の価値と,持続可能性
安井 敬三
1
1日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院脳神経内科
pp.97-98
発行日 2026年2月25日
Published Date 2026/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120390020097
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ある軽症頸椎症患者が,手術を選ばず保存療法で経過をみることとなった.症状は大きく悪化することなく,生活の工夫と薬物療法によってコントロールされていた.その患者は10年以上にわたり診察室を訪れ続けたが,78歳のときに胃がんを発症し,その後は受診できなくなった.別の84歳の患者は,家族の事情により施設入所となり終診した.JOAスコアは14点で下肢の痙性はなく,歩行困難の主因は加齢に伴うサルコペニアであった.
このように軽症頸椎症の多くは,一過性の悪化を伴いながらも長期に安定した経過を辿り,生涯にわたって外来診療で付き合うことになる場合が少なくない.診察の冒頭で毎年繰り返される「先生,今年もよろしくお願いします」という穏やかな挨拶は,単なる病状管理を超えた信頼関係が築かれていることを静かに物語っている.
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