特集 顔の総合診療 顔をみればわかること
顔に現れる緊急疾患の診断
太田 凡
1
1湘南鎌倉総合病院救急総合診療科
キーワード:
顔の視診所見
,
早期の専門科紹介
,
瞳孔不同
,
眼球運動障害
,
頭蓋底骨折
Keyword:
顔の視診所見
,
早期の専門科紹介
,
瞳孔不同
,
眼球運動障害
,
頭蓋底骨折
pp.195-201
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100858
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Case
患者:80歳,男性.
既往歴:高血圧症にて降圧薬を内服中.認知症あり.
現病歴:夕食後に頭痛を訴えるため,家族の付き添いで救急外来を独歩受診した.これまでに頭痛を訴えたことはなく,嘔気も訴える.突然発症かどうかは,認知症もあり定かではない.担当医は,くも膜下出血の可能性も考え診療を開始した.血圧は160/80mmHg,脈拍70/分,顔面・四肢に運動感覚障害は認めない.しかし右眼の所見で,瞳孔が中程度散大しており,角膜がやや混濁,眼球結膜も充血していた.対光反射も減弱しており,左眼ではこれらの所見は認められなかった.視力低下は明らかでなかったが,ペンライト法で隅角の閉塞が疑われ,眼圧計で右眼圧の上昇も確認された.担当医は急性隅角閉塞性緑内障発作と診断し,直ちにピロカルピン(縮瞳用点眼薬)とマンニトール(浸透圧利尿薬)の投与を開始し,眼科医のいる大学病院に転送させた.
顔に所見が現れる疾患には限りがない.ニキビといえども「acne vulgaris:尋常性ざ瘡」と名のついた立派な疾患である.顔面外傷も,かすり傷(擦過創)から気道確保が困難な重症症例まで幅が広い.
ここでは「顔に現れる緊急疾患」を以下の基準で選択し,外傷,疾患の順で視診所見ごとに病態をまとめた.
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