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CSR(企業の社会的責任)とはなにか?
企業の社会的責任,CSR(Corporate Social Responsibility)については様々な定義があるが,筆者は「企業の内側と外側を再確認すること」と定義している.これは言い換えると,己を知り相手(社会)を知ることである.内側から見直すということは,企業のミッションを再確認し,企業の社会的な存在価値を問い直すことを意味する.結局,最近頻発している企業不祥事のほとんどは,目先の利益を確保するという近視眼的な発想から生じている.しかしそれらが一旦発覚すると企業に取り返しのつかないほどの損失をもたらす.こうした企業も,設立当時を振り返ってみると,その事業を通じて社会に貢献をしたいというミッションが必ずあったはずである.しかし,日々の事業活動を続ける中でそれが見失われてしまった.それを再確認することがCSRの第一歩である.
次に「外側から見直す」ということは企業を取り巻くステークホルダー,すなわち社会との関係を再確認することである.そこで社会(相手)を知る時に重要な点が1つある.それは「何がビジネスのチャンスなのか?」という切り口以外の視点から社会を知るということである.地域の住民や,NGOなどビジネス上あまり利害のないステークホルダーがその会社に対して何を期待しているのか,また従業員などビジネスに直接関係の深いステークホルダーでも,会社とどのように関わっていきたいと思っているのか.彼らの要求は,環境保全やワークライフバランスのとれた職場制度など直接ビジネスにつながらないように見えるものが多く,通常の企業活動の中で無視あるいは軽視されがちであるが,これらは社会の変化とともにビジネス上も重要なテーマとなることが多い.
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