症候性仙骨囊胞に対するラッピング術

Wrapping Surgery for Symptomatic Sacral Perineural Cysts

はじめに

　仙骨部にみられる神経根囊胞（sacral perineural cysts：SPC）は，meningeal cyst type Ⅱ（extradural cysts with spinal nerve roots）に分類され，多くは無症状であるが，腰痛，下肢痛，排尿・排便障害を引き起こす症例では外科的治療が考慮される．SPCに対する外科的治療として，経皮的フィブリン糊注入法，結紮，縫縮などが考案されたが，低い症状改善率，囊胞の再増大，髄液漏・無菌性髄膜炎などの合併症が課題であった^1）．筆者はこれらを解決するため，囊胞周囲を剝離して隣接神経根の圧迫を解除し，囊胞を人工膜で被覆して再増大を防ぐラッピング術を行っているので，その方法を紹介する^2）．