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はじめに:阪大病院が目指す姿「Futurability」を体現する「AIホスピタル」
2017年に大阪大学医学部附属病院(以下,阪大病院)は,「これからの病院が目指す姿」として「Futurability 待ち遠しくなる未来へ.」4)という新しいコンセプトを打ち出した.Futurabilityとは“future”と“ability”をかけ合わせて造ったキーワードで,「全ての人が待ち遠しくなるような病院,未来の可能性を見つめ,新たな課題に新たな方法で解決し続ける姿」という願いが込められている.
阪大病院がこのようなコンセプトを打ち出した背景には,専門化・複雑化した医療が影を落とす負の側面がある.医療の進歩は著しく,高度な医療が実現されて先進的な医療が現実のものとなり,専門的な知識は爆発的に増加している.このことによって,医療従事者は自分の専門領域の外のことについて最新の知識を日々習得し,すべての領域の専門性を維持することは困難となっている.その一方で,医療従事者に求められる医療の質のレベルは日々高まっている.このことが医療従事者の担う業務の増加を促し,それが過度になると燃え尽き症候群や医療過誤の危険として高いレベルの医療を提供することが損なわれるリスクを増大させることにもつながる.患者からはより質の高い医療を求める要求の高まり,ミスのない高い医療安全の確保が求められている.このような状況から,医療の中心となるべき医療従事者と患者とのコミュニケーションの時間が十分に取れないといった問題も生じている.医療者の働き方改革が叫ばれ,タスクシフティング・タスクシェアリングなど新たな試みが始まっているが,その効果が現れるには時間がかかるだろう.このように医療を取り巻く状況が変わる中,これまでの病院観でこれからの医療を目指すことには限界がある.
阪大病院ではこのような現代の病院が抱える課題に対し,Futurabilityのコンセプト「新たな課題に新たな方法で解決し続ける姿」を人工知能(artificial intelligence:AI)を種々の場面で利活用すること,すなわちAIホスピタルを実現することが1つのマイルストーンになると考えている.

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