Japanese
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特集 私のOriginal Surgical TechniqueとInnovation—手外科編
私のInnovation:Medical Technology
さまざまな上肢形成不全とAIを活用した義手の可能性
Congenital Hand Failure and AI Prosthesis
高木 岳彦
1
Takehiko TAKAGI
1
1国立成育医療研究センター整形外科
1Division of Orthopaedic Surgery, National Center for Child Health and Development
キーワード:
上肢形成不全
,
congenital hand failure
,
母指形成不全
,
hypoplastic thumb
,
義手
,
prosthesis
Keyword:
上肢形成不全
,
congenital hand failure
,
母指形成不全
,
hypoplastic thumb
,
義手
,
prosthesis
pp.165-169
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330600020165
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小児の手外科診療を中心に日常過ごしていると,さまざまな形態の上肢形成不全に遭遇する.母指形成不全を含む橈側列形成障害に代表される縦軸形成障害については手術技術の進歩が整容面,機能面での改善が期待できる病態である.一方,上腕欠損,前腕欠損といった横軸形成障害に対しては,外科的加療では再建が困難であるため,義手のアプローチが有効と考え,われわれは工学系研究者との医工連携により各種の義手の開発を進めてきた.特に筋電義手においては,直感的に「握る」とイメージした際に義手がより簡便に「握る」動作を実行できるよう,学習機能を搭載した個性適応型義手を開発してきた.この義手は,筋電信号の特徴を抽出し,ニューラルネットワークを使ったパターン認識により,使用者の筋電位の個々の特徴を学習させることで,使用者に適応するシステムとなっている.これは一例に過ぎないが,義手は多種多様であり,使用者のニーズや用途に応じた適応を慎重に検討すべきと考えている.このように手術による機能再建への挑戦とその限界を踏まえたうえで医工連携によるアプローチを行うことは,常に重要であると考えている.上肢形成不全全般について小児手外科医の視点から機能する手の獲得に向けたアプローチについて述べていきたい.
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