Japanese
English
実践講座 義肢装具の処方と価格
9.義手
Upper-Limb Prosthetics: Prescription and Price.
井手 睦
1
,
緒方 甫
1
Makoto Ide
1
,
Hajime Ogata
1
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
義手
,
処方
,
価格
Keyword:
義手
,
処方
,
価格
pp.795-799
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107447
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
四肢・体幹の機能低下,脱失を補助,代償するのが装具・義肢である.装具がhuman beingとmachineとのinterfaceという特徴を示しているとすれば,義肢はよりmachineに近いところにあるのではないか…“artificial limb”の名が示すごとくである.Machineに近いものであるがゆえに義肢に初めて接する者の期待や戸惑いは装具に対するそれよりも大きいように思われる.
さて,今年の1月より本誌で連載されている「義肢装具の処方と価格」の最終回である本稿のテーマは義手である.現場にいる多くのリハビリテーション科医達が義手の処方の難しさを感じているはずである.人手と費用をかけたにもかかわらず,使用されなくなった義手がいかに多くあることか.その一方では,外観は不恰好でも何年も使いこまれた傷だらけの作業用義手に出会うことも少なからずある.手の機能の評価の再検討,より実用的なパーツの開発等々,義手をめぐる課題は山積している.
実際に義手がどれだけ処方されているかは対象群の選び方すなわち原疾患や義肢支給のfunding sourceによって異なってくる.例えば徳弘は労災切断者を対象に義肢支給巡回サービスを行った際に,518例中227肢の上肢切断者の相談を受けたと報告している2).一般総合病院であたる上肢切断の頻度よりもずっと高いこの数字には,機械運転作業中の事故など労災の特徴が反映されていると思われる.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.