増大号 超実践! 病理で迫るがんゲノム医療—検査から治療まで
2章 がんゲノム検査に関わるテクニックと工程
遺伝子関連検査領域の工程
ライブラリー作製(アンプリコンシークエンス法,キャプチャーシークエンス法)
赤羽 俊章
1,2
1鹿児島大学病院腫瘍センター・ヒトゲノム遺伝子解析センター
2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科病理学分野
キーワード:
アンプリコンシークエンス法
,
キャプチャーシークエンス法
Keyword:
アンプリコンシークエンス法
,
キャプチャーシークエンス法
pp.1106-1109
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690101106
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アンプリコンシークエンス法
アンプリコンシークエンス法は,ターゲットの遺伝子領域のDNA配列に即したプライマーをサンプルDNAとPCR反応させることで目的の領域だけを増やし,アンプリコン(PCR産物)を作る手法である.がんゲノム,とりわけ,ホルマリン固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded:FFPE)検体から抽出したDNAを使用する場合,低品質,低濃度であることが多々あるが,この手法は低濃度または断片化が進んだDNAを用いても,目的の領域を濃縮(エンリッチメント)することが比較的容易である.
しかしながら,断片化が著しいDNAの場合,反応する箇所によっては非特異的にPCR反応が起き,本来は別の遺伝子領域であるのに,別の場所にマッピングされ,エラー1塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)として検出されることがある.また,コピー数多型(copy number variation:CNV)解析では,非腫瘍のDNAと腫瘍部位のDNAのリード数の差を基に比較解析を行ってCNVを算出するが,両者の検体品質が著しく異なると,増幅効率に差が生じ,正確な値が算出できない.例を挙げると,非腫瘍部位として新鮮な血液由来のDNA,腫瘍部位として5年前のFFPE由来のDNAを用いて比較・解析しCNVを算出する場合などであり,バイオインフォマティシャンによる検証と補正が必要となる.

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