特集 遺伝と臨床検査
II DNA診断
1.DNA診断のための基本的操作
8) DNAシークエンス法
巽 圭太
1
,
宮井 潔
2
Ke-ita TATSUMI
1
,
Kiyoshi MIYAI
2
1大阪大学医学部臨床検査診断学教室
2甲子園大学栄養学部
pp.67-70
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901281
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●はじめに
DNAの塩基配列を決定することは,生物の設計図とも言うべきDNAの基本構造を知ることである.各種の遺伝病は,染色体異常,あるいは,塩基配列異常(置換,欠失,挿入)が病因であり,DNAシークエンス法はこのうちの塩基配列異常を明らかにする方法である.
さて,DNAシークエンス法は数年前までは,ゲノムDNAの抽出後,大腸菌を用いた組換えDNA実験法によりDNAクローニング法をしないと行えなかったこと,さらに,その後の塩基配列の決定の段階で,32Pや35Sのラジオアイソトープ(RI)を使わざるをえなかったことの2点のため,施設面ならびに煩雑さの点で,一般検査室で施行するのは非常に困難であった.しかし,最近の技術の急速な進歩により,PCR法や自動DNAシークエンサーなどが実用化されてきたことで,今や1人で10以上の検体を1日で決定することが可能となり,検査室レベルでの実用化も間近いと思われる.
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