増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか
2.技術編—遺伝子検査を活用するための知識
3)分析法/解析法
(8)DNAシークエンス法
奥村 伸生
1
,
寺澤 文子
1
1信州大学医学部保健学科
pp.976-980
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906332
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はじめに
DNAあるいはRNA(逆転写酵素によりcDNAに転換後に実施)の塩基配列を決定するということは,遺伝子の相違を最終的に判定するためのゴールデンスタンダードである.DNAの塩基配列決定法には,大きく分けて次の2通りの方法がある.第一は1977年に発表されたマクサム-ギルバート(Maxam-Gilbert)法1)であり,ジメチル硫酸やヒドラジンなどの化学試薬で塩基特異的な修飾と分解を行うことにより,DNAを切断・断片化し,標識された32Pをオートラジオグラフィーで検出するものであった.詳細は他の総説,2)を参考にしていただきたい.もう1つは同年に発表されたサンガー(Sanger)法あるいはジデオキシ(dideoxy)法3)である.本法は3’の位置のアルコール基を水素に置換した4種類のジデオキシヌクレオチド(ddNTP,図1)を,DNAポリメラーゼの基質特異的競合阻害剤として基質であるデオキシヌクレオチド(dNTP)と同時に加えて反応させる方法である.この反応ではddNTPを結合したDNAがその時点で伸長反応を停止してしまうことを利用した方法である.この方法は各メーカーから種々のキットが販売され,さらに改良が加えられたことから,どこの施設でも比較的容易にシークエンスが可能となり普及した.
このジデオキシ法はさらに次の2とおりの方法に分類される.
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