増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅲ術式別の術前・術中・術後管理
胃
胃・空腸バイパス術
松尾 謙太郎
1
,
田中 亮
1
,
吉本 秀郎
1
,
今井 義朗
1
,
朝隈 光
1
,
李 相雄
1
Kentaro MATSUO
1
1大阪医科薬科大学一般・消化器外科
pp.116-119
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110116
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
胃・空腸バイパス術とは,胃幽門前庭部または十二指腸に通過障害を認め,その部位を切除することなく,胃の内容物や消化液を空腸へ通過させるルートを外科的に作製する術式である.
本術式は,食事摂取不能の症例に対してQOL向上を目的とした緩和手術として施行されることが多い.適応となる代表的な疾患・病態としては,幽門狭窄を呈する進行胃癌が挙げられる.肝十二指腸間膜浸潤を伴う腹膜播種や高度な膵浸潤により切除不能となった場合,十二指腸への通過障害によって経口摂取が不可能な症例に適応される.また,切除不能な膵頭部癌や十二指腸癌,胃・十二指腸潰瘍瘢痕による狭窄,上腸間膜動脈(SMA)症候群のような良性疾患に対しても,本術式が緩和的手段として施行されることがある.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

