増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅱ併存症をもつ患者の評価とその術前・術後管理
その他
血液凝固異常(先天性)
山口 知子
1
,
山本 正英
2
Tomoko YAMAGUCHI
1
1荻窪病院血液凝固科
2東京科学大学病院血液内科
pp.90-92
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110090
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先天性血栓性疾患
術前評価
遺伝的に血栓傾向を示す先天性血栓素因として,本邦では凝固阻止因子の質的・量的異常であるアンチトロンビン(AT),プロテインC(PC),プロテインS(PS)欠乏症の頻度が高い.
術前評価として,過去に若年性(40歳以下)の血栓症の発症,再発性,稀な部位での血栓症のエピソード,もしくは若年性の血栓症の家族歴などがあれば,先天性血栓素因の可能性を考えて精査を行う.検査としては,採血にてAT,PCおよびPS活性のいずれかが正常の50%程度に低下していれば,先天性血栓性疾患と診断される.ただし,これらの検査値は抗凝固薬内服などの影響を強く受けるため,解釈に注意が必要である.

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