増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅲ術式別の術前・術中・術後管理
食道
食道切除術(開胸・MIS)
野間 和広
1
,
田辺 俊介
1
,
藤原 俊義
1
Kazuhiro NOMA
1
1岡山大学消化器外科
pp.94-97
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110094
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
術前管理
食道癌手術を安全に乗り切るためには,周術期におけるさまざまなリスクを適切に把握し対応することが重要である.別表(周術期管理のながれ)のように周術期管理を行っていくが,周術期合併症を軽減し,より安全かつ迅速に術後の回復を促進するためにenhanced recovery after surgery(ERAS)という概念が提唱されてきた.ERASを実践するためには,医師のみならず多職種のメディカルスタッフの横断的な介入が必要である(図1,表1).食道癌手術症例は,当科では通常術前2日前に入院して術前準備を行う.しかし,食道癌手術のような高侵襲の手術においては,術前の外来の時点から多職種連携による周術期管理を行うことが大切であり,現在食道癌手術のハイボリュームセンターでは多くの施設でこうした術前からの多職種管理が行われている.なかでも進行食道癌患者においては,術前化学療法の期間が約2か月あり,その期間に患者の全身状態が低下しないようにすることが重要である.特に化学療法による有害事象対策は術前化学療法開始時点から多職種が介入するようにしている1).

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

