Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
知里幸惠の『日記・書簡集』—障害受容的な心性
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.458
発行日 2026年4月10日
Published Date 2026/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220540040458
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わずか19歳で『アイヌ神謡集』を完成させたアイヌの天才少女として知られる知里幸惠(1903〜1922年)は,『日記帳』(『知里幸惠 日記・書簡集』所収,KADOKAWA)のなかで,持病の心臓病に対する障害受容的な心境を語っている.
当時の幸惠は,彼女の才能を見出した金田一京助の勧めで上京して東京・本郷の金田一宅に寄寓していたのだが,大正11(1922)年6月7日の日記では,まず父親からの手紙にあった「世間のおかげで勉強して大な智恵袋にいっぱい智恵をつめこんでも,不健全な身体を持ち,不愉快な日を送る様では,何にも知らずに日々荷ナワを背負って薪木を拾う人,わらびをとって市に売る人々の方が何ほど幸福であるかわからぬ」という見解に賛同する形で,「健康は実に人間の幸福の源でありましょう.健康な人は日々の仕事も楽しく快くキパキパやってのけるでしょう」と,健康であることの価値を認めている.
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