連載 デジタルアウトリーチの進化が切り拓く新たな可能性・第5回
VR医療相談集会が創造する新たなヘルスケアの可能性
葉梨 輝
1
Akira Hanashi
1
1中目黒ブロッサムクリニック
1Nakameguro Blossom Clinic
キーワード:
VR医療相談集会
,
VR
,
ヘルスケア
Keyword:
VR医療相談集会
,
VR
,
ヘルスケア
pp.1271-1274
発行日 2025年12月10日
Published Date 2025/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530121271
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VR医療相談集会が拓く新たな接点
近年,バーチャルリアリティ(virtual reality:VR)技術は,ゲームやエンターテインメントの枠を超え,医療分野におけるツールとして注目を集めている.特に,リハビリテーションは身体機能の回復をめざすだけでなく,患者の社会参加やquality of life(QOL)向上を最終目標とする総合的な医療領域であり,VRが提供する新たな可能性との親和性が高いと考えられる.本稿では,VRChat上で毎週開催されている「VR医療相談集会」の実践を起点に,VR技術が未来のヘルスケア,リハビリテーション分野にもたらす可能性と,その実現に向けた課題および展望について論じる.
VR医療相談集会は,2022年7月より,医師らが立ち上げた株式会社VR Healthcareによって企画されている.さまざまな悩みや医療に関する相談をしたい人々と,それに応じる医療従事者が集うコミュニティとして機能しており,週に2日間(水曜,木曜の22時から1時間程度),無料で開催されている.特筆すべきは現実の病院とはまったく異なるVRコミュニティ独特の雰囲気で,参加者はアバターを介して交流し,他の人に聞かれたくない相談は個室でプライベートに相談を行うことも可能である.この集会は,単なるオンライン診療の代替手段にとどまらず,従来の医療サービスにはない「コミュニティ」という要素を前面に打ち出している.

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