Japanese
English
入門講座 睡眠とリハビリテーションを科学する・2
現代社会の睡眠問題とその対応
Sleep problems in modern society and how to deal with them
藤原 広明
1
,
丸山 崇
1
Hiroaki Fujihara
1
,
Takashi Maruyama
1
1産業医科大学医学部第1生理学
1Department of Physiology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health, Japan
キーワード:
睡眠の認識
,
睡眠負債
,
酸化ストレス
Keyword:
睡眠の認識
,
睡眠負債
,
酸化ストレス
pp.1018-1022
発行日 2025年10月10日
Published Date 2025/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530101018
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はじめに
本邦は世界の他の国々と比較して,平均睡眠時間が短いことが報告されている.2021年の経済協力開発機構(Organization for Economic Co-operation and Development:OECD)の調査では,日本人の平均睡眠時間は7時間22分と,加盟33か国のなかで最下位であった1).睡眠効率(就床時間に対する実際の睡眠時間の割合)が考慮されていない点には注意が必要な調査であるが,33か国の平均は8時間28分で日本と約1時間の差がみられた.また,厚生労働省の健康日本21(第二次)最終評価2)において,休養の指標である「睡眠による休養を十分とれていない者の割合」は,2009年の18.4%から2018年の21.7%と増加しており,「悪化している」と評価された.
このような状況を踏まえ,厚生労働省は「健康づくりのための睡眠ガイド2023」3)のなかで「健康増進の観点から,『適正な睡眠時間の確保』と『睡眠休養感の向上』が,全ての国民が取り組むべき重要課題であるとともに,我が国の健康寿命の延伸に有意義であると考えられる」と述べている.

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