Japanese
English
特集 呼吸ケアと呼吸リハビリテーションのエビデンス
「呼吸サルコペニア」と呼吸筋トレーニングのエビデンス
“Respiratory sarcopenia” and evidence of respiratory muscle training
玉木 彰
1
Akira Tamaki
1
1兵庫医科大学リハビリテーション学部
1School of Rehabilitation, Hyogo Medical University
キーワード:
呼吸サルコペニア
,
呼吸リハビリテーション
,
心臓リハビリテーション
,
呼吸筋力
,
呼吸筋トレーニング
Keyword:
呼吸サルコペニア
,
呼吸リハビリテーション
,
心臓リハビリテーション
,
呼吸筋力
,
呼吸筋トレーニング
pp.783-790
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530080783
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
ヒトの全身の筋肉量は加齢とともに減少していくが,それに伴って全身の筋力や歩行速度などが低下し,これらが著しく低下すると日常生活動作(activities of daily living:ADL)にも大きく影響してくる.加齢とともに生じる全身性の骨格筋の筋量減少と身体機能の低下はサルコペニア1)と称されているが,これらの骨格筋変化は必ずしも全身に生じるわけではない.
呼吸は呼吸筋の働きによって行われている生命維持に欠くことができない機能であり,呼吸筋機能の低下が生じた場合,換気能力低下をはじめとした重大な問題を生じ,これらは労作時呼吸困難,運動耐容能低下,さらには身体活動低下を招き,生命予後の悪化へとつながる2).そのため近年では,呼吸リハビリテーションや心臓リハビリテーションにおいて呼吸筋トレーニングが注目され,多くの臨床研究が報告されている.
本稿では,呼吸リハビリテーションや心蔵リハビリテーションにおける呼吸筋介入への重要性を明確にすることを目的に,新たな概念として提唱された呼吸サルコペニアについて概説した後,実際の呼吸筋低下を予防・改善するための呼吸筋トレーニングについて,その方法や現在までに明らかとなっている最新のエビデンスを紹介する.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.