連載 歩行と動作の計測機器・第5回
脳卒中患者の動作分析の実際
田中 惣治
1
Soji Tanaka
1
1新潟医療福祉大学リハビリテーション学部義肢装具自立支援学科
1Faculty of Rehabilitation/Department of Prosthetics and Orthotics and Assistive Technology, Niigata University of Health and Welfare
キーワード:
脳卒中患者
,
動作分析
,
歩行
Keyword:
脳卒中患者
,
動作分析
,
歩行
pp.531-536
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530050531
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はじめに
臨床における脳卒中患者の動作分析には,観察による定性的な分析と計測機器を使用した定量的な分析がある.歩行計測の手法には定量的分析のゴールドスタンダードである光学式カメラを用いた三次元動作分析装置があるが,近年は慣性センサーやマーカーレスモーションキャプチャー式の動作分析装置も出てきている.また,少ないチャンネルで簡単に使用できる表面筋電計も開発されており,臨床現場で定量的な分析が行える環境となっている.しかし,各計測機器には利点と欠点があり,計測機器があるからといって,目の前の脳卒中患者の歩行のすべてがわかるわけではない.計測機器を臨床で有効に活用するためには,仮説を立てて目の前の現象を正しく理解するための知識(脳卒中患者の歩行の特徴)と,各計測機器で何がわかるかを理解することが求められる.
筆者はこれまで数百例の脳卒中患者の歩行を三次元動作分析装置と表面筋電計を使用して計測し,臨床に活用してきた.本稿では,計測結果をどのように臨床に生かすかという観点から,脳卒中患者の歩行の特徴とその特徴を評価する計測機器を紹介したい.併せて,定量的分析で得られたデータをどのように臨床に生かすかについても解説する.

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