連載 歩行と動作の計測機器・第4回
ビデオ・カメラ映像を用いた動作分析装置—歩行動作分析の数値客観化の重要性と動画を用いた骨格推定アルゴリズムの活用可能性
志水 宏太郎
1
,
河島 則天
1
Kotaro Shimizu
1
,
Noritaka Kawashima
1
1国立障害者リハビリテーションセンター研究所運動機能系障害研究部
1National Rehabilitation Center for Person with Disabilities
キーワード:
動作分析
,
歩行
,
動画
Keyword:
動作分析
,
歩行
,
動画
pp.419-422
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530040419
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
動作を定量化することの意味
リハビリテーション領域において動作分析は機能評価の根幹であり,患者の身体機能を適切に把握し,効果的な介入につなげるうえで必要不可欠な要素である.これまで,座標データを用いた定量的な動作分析の手法として,光学式三次元動作解析装置が長く活用されてきた.この手法は高精度,かつ高いサンプリングレートでの計測が可能な利点をもつ一方で,理学療法や作業療法の臨床現場で用いるには,① 価格が非常に高い,② 設置場所が固定されてしまう,③ 赤外線反射マーカーの貼付などの準備に時間を要する,④ データ解析に専門性が求められる,などの多くの制約・欠点があり,現状では広く一般に浸透しているとはいえない.
そのため臨床場面における動作分析は,観察に基づく定性的な評価にとどまることが多く,運動・感覚機能の評価と関連づけながら臨床的アウトカムを用いた得点化〔例えば,Functional Independence Measure(FIM)やBerg Balance Scale(BBS),上肢機能バッテリーテスト,10m歩行テスト〕を行うという流れが一般的になっている.しかし,定性的な評価では,その結果や着眼点を他者と共有することに限界がある.例えば,経験豊富なスタッフの鋭い観察眼を若手スタッフと共有しようとする場合に,定性的な観点だけでは困難が生じる.また,分析結果をデータベースとして蓄積し,集約や後ろ向き解析を図ることも不可能である.そのため,臨床場面で活用しやすい定量的な動作分析の方法が,さまざまな研究者により検討されている.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.