特集 泌尿器科領域周術期感染症と合併症—ガイドラインからみえる未来予想図
企画にあたって
泌尿器科領域周術期感染症と合併症—ガイドラインからみえる未来予想図
山本 新吾
1
1兵庫医科大学 泌尿器科・腎移植センター
pp.935
発行日 2025年10月20日
Published Date 2025/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038523930790110935
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この10年間ほどで泌尿器科領域手術は目覚ましい技術的進化を遂げ,さらにそれらの新規技術は次々と新しい分野に適応されています.ロボット支援腹腔鏡手術は根治的前立腺摘除術にとどまらず,腎部分切除術,根治的膀胱全摘除術,さらには腎・尿管摘除術や副腎摘除術にも幅広く適応となりました.特にロボット支援腹腔鏡手術が腎盂形成術や仙骨腟固定術に適応されたことは,悪性腫瘍だけではなく良性疾患にも広く先進技術が普及するきっかけになりました.尿路結石分野においても経皮的経尿道的同時破砕術(ECIRS)など高度な技術が広く普及し,一般病院においても安全かつ効率よく尿路結石の治療が行われています.古くはTURPに始まった前立腺肥大症に対する経尿道的手術は,HoLEPやTUEBのような核出術を経て,いまやさまざまな種類のレーザーや水蒸気による蒸散術も広く行われるようになりました.また尿道狭窄に対しての内視鏡的切開術の功罪が認知されはじめたことにより,開放手術による尿道形成術という新たな手術領域も作られはじめています.
本特集では,各領域のエキスパートの先生に周術期感染および合併症の予防対策についてご執筆いただきました.周術期感染予防については『泌尿器科領域における周術期感染予防ガイドライン2023』に準拠していただくことを前提としましたが,それに加えて合併症予防として各施設独特の秘伝・秘技も積極的に執筆内容に組み込んでいただくようお願いしました.また執筆者が日頃疑問に思われている解決すべき問題があれば,それぞれの項目の最後に「FRQ(フューチャーリサーチクエスチョン)」を設定して未来予想図を描いていただきました.

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