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日本リハビリテーション医学会もそろそろ50周年を迎える.この50年の歴史の最後のほうの10数年間に登場した私は,それ以前のことについてはよく知らない.そこで,巻頭言執筆の依頼をいただいたことをきっかけに,昔の巻頭言をひもといてみることにした.読み進めていくと,リハビリテーションの歴史の重みを少し感じ取ることができた.とくに,黎明期の巻頭言は,リハビリテーションのidentity探求などリハビリテーション医学・医療の確立への真摯な使命感に満ちたものが多く,現在のリハビリテーション医学・医療を形作ってきた源泉となるエネルギーを感じた.そうしているうちに,ふと,次の50年では,リハビリテーション医学・医療はどうなっているのだろうか,どのような未来が描かれるのか,描くのか.そんなことが気になった.
中枢神経系の障害,とくに麻痺に対する対応を念頭に考えてみる.最初に空想されるのは,治療・代替手段として使用されるロボットである.対麻痺,四肢麻痺や片麻痺などの患者は,軽量なロボットスーツに超急性期から身を包み,難易度を最適化するように関節運動を制動し,バランスを調節し,同時にバイタルサインや血糖をモニターしながらリハビリテーションを受けることが可能になる.動きや行動の評価は,実際の日常生活の中で三次元の定量データとして蓄積・解析ができる.脳情報は,非拘束的にオンラインで容易に読み取ることができ,課題の最適化やフィードバックに利用ができるようになる.また,洗練された再生医療やニューロモジュレーションの技法は中枢神経系の可塑性を促し,麻痺自体の回復は数倍にもなり,ホルモン療法,アンチエイジングなどの知見は,体力,筋力などの回復,増強を飛躍的に向上させる(だろう).
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