特集 産婦人科の未来予想図―これから必要な技術,資格について
総論
3.生殖医学分野の未来予想図
廣田 泰
1
Y. Hirota
1
1東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座(教授)
pp.843-846
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003505
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生殖補助医療(ART)を介して誕生する児が出生児8.5人に1人を占める現在,人工知能(AI)解析やオミクス医療との融合により,科学的根拠に基づく高成功率のARTが実現しつつある。ARTの発展に伴って,今後,社会的卵子凍結や卵巣再生医療,多様な家族形態への対応など,新たな治療需要の拡大が見込まれる。制度面では,生殖医療の先進医療技術の一部が保険収載されることが予想されるが,この過程の臨床研究においてエビデンス構築への臨床家の積極的な参画が不可欠である。教育面では,生殖医療専門医制度を核に,AI・ゲノム・再生医療を取り込んだ教育,多職種連携,研究マインドの涵養が強く求められる。将来的には,自動化ARTやリプロダクティブ・オミクスの普及により,生殖医学は不妊治療を超えて,次世代の健康と社会の持続性を支える基盤医療へと進化していくと予測される。

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