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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
糖尿病・脂質代謝
脂質異常症の未来予想図
Dyslipidemia
――Past, present, and future
岡﨑 啓明
1
Hiroaki OKAZAKI
1
1自治医科大学医学部内科学講座内分泌代謝学部門
キーワード:
高脂血症
,
低脂血症
,
動脈硬化
,
脂質難病
,
個別化医療
Keyword:
高脂血症
,
低脂血症
,
動脈硬化
,
脂質難病
,
個別化医療
pp.795-799
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090795
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脂質異常症は,動脈硬化などのcommonな病態からrareな遺伝性疾患まで,多様な病態に関わる.古くは動脈硬化巣へのコレステロールの沈着の発見にはじまり,コレステロール代謝の解明とその制御手段としてのスタチンの発見,大規模臨床研究からのthe lower,the betterの確立は,動脈硬化予防の一次予防から二次予防まで,多くの人に福音となった.さらに,近年の遺伝疫学研究から,遺伝子を標的とした創薬が次々実現しているとともに,the lower,the earlier,the betterも明らかとなり,早期診断・早期治療へとパラダイムシフトしてきている.一方で,多くの未解決課題が残されている.動脈硬化リスクとして高LDL-コレステロール(LDL-C)血症に次いで主要でありながら治療法の確立されていない高トリグリセライド(TG)血症,期待されながらいまだに治療薬が実現していない善玉(HDL)経路,メタボ型脂質異常症(高TG血症+低HDL-C血症)の治療開発,組織に蓄積した脂質の直接的除去薬の開発,commonな脂質異常症に比べて治療開発が遅れているrareな脂質難病の治療開発,個別医療のための遺伝的素因・環境要因の解明と診断法開発など.遺伝的素因と環境要因が脂質異常症を生み,疾患につながる.遺伝的素因と環境要因が解明され,豊かな個別化医療が可能となり,commonな疾患からrareな難病まで,治療薬ラインアップが揃い,早期治療が可能となる――そのような次の100年を期待したい.
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