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特集 脳とAI—脳科学と人工知能研究の未来
メタ認知と思考実験からみた脳と人工知能の将来
The future of the brain and artificial intelligence from the perspective of metacognition and thought experiments
宮本 健太郎
1
Miyamoto Kentaro
1
1理化学研究所脳神経科学研究センター
キーワード:
反実仮想
,
新奇性判断
,
内省
,
メンタルシミュレーション
,
社会的メタ認知
,
機能的MRI
Keyword:
反実仮想
,
新奇性判断
,
内省
,
メンタルシミュレーション
,
社会的メタ認知
,
機能的MRI
pp.80-84
発行日 2026年2月15日
Published Date 2026/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310770010080
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人間の心には,目の前にないものや事柄を概念化できる能力が不可欠である。この能力によってわれわれは,出来事が異なる展開をたどった場合や別の行動をとった場合に何が起こり得たかという,反実仮想的な推論を行うことができる。また,行動する前に将来起こり得る結果を予測する,いわば“思考実験(gedankenexperimente)”を行うことも可能にする。しかし,このような能力を支える認知行動科学的および神経科学的なメカニズムは,全くわかっていなかった。これらの能力は,既存の知識や経験に基づいて,新たなアイデアや問題解決策を着想するために不可欠である。
本稿では,筆者らが最近の研究で明らかにした,前外側前頭葉(anterior lateral prefrontal cortex;alPFC,47野)の,自分や他者が将来選択し得るシナリオ(=われわれが“する可能性がある”こと)の結果を想像するしくみと,外側前頭極(frontopolar cortex;FPC,10野)の,想像の結果生み出されたシナリオおよびその過程を評価するメタ認知に関わるしくみを概説する。これら2つの脳領域が協働することによって,仮想的な状況を構築・評価する能力が支えられていると考えられる。この脳の働きに着想を得た,思考実験に基づくメンタルシミュレーションを“主体的に行う”人工知能の発展が期待される。

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