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あとがき
栗原 裕基
pp.637
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760060637
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新組織学シリーズの特集は,2020年に当時編集委員長を務めておられた故野々村禎昭先生の「年1回ずつ生体の各組織を取り上げ,最終的には現代的な組織学の体系を構築したい」との思いから企画され,「皮膚」,「骨格筋」,「血管・リンパ管」,「骨・軟骨」,「脂肪」を経て,今回の「心臓」が6回目になります。本特集では,心臓の発生と構造・機能に始まり,他臓器との連関,疾患のメカニズムと,幅広い内容を第一線でご活躍中の先生方にご執筆いただくことができました。最近の研究手法の進歩や他領域との学際研究によって知識体系が広汎に及ぶなか,若手の先生方からもテーマや執筆候補について多くのアイディアをいただき,おかげさまでこの一冊で心臓の組織学的理解が深まり,基礎から臨床にわたる最先端の知見を広く俯瞰できる内容になりました。
本特集号では更に,淺井理恵子先生から,一般的にノード流によって生じるとされている左右の非対称性が,ノード形成以前の初期胚において,その細胞流動にみられるという興味深い知見を紹介していただきました。独自の発見からどのような仮説を立て,どのような戦略で研究を進めていかれるか,今後の展開を大いに期待したいと思います。

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