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あとがき
栗原 裕基
pp.604
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201801
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新組織学シリーズの特集は,2020年に当時編集委員長を務めておられた故野々村禎昭先生の「年1回ずつ生体の各組織を取り上げ,最終的には現代的な組織学の体系を構築したい」との思いから企画され,「皮膚」,「骨格筋」,「血管・リンパ管」を経て,今回の「骨・軟骨」が4回目になります。今回ゲストエディターをお願いした高柳広先生は,整形外科医としてのバックグラウンドをもちながら,免疫学において「骨免疫学」という新しい領域を確立されたご高名な医学者です。現在はさらに骨を中心とする「オステオネットワーク」という概念を提唱され,骨格系の理解に新しい枠組みが生み出されています。「骨身に沁みる」,「骨の髄まで」という,人間が体の根底に感じる骨のイメージと重なるようにさえ思えます。本特集ではこうした先生の幅広いご見識から構想をお願いし,骨・軟骨の組織学の基礎から臨床に至るまで,多くの先生方にご執筆いただくことができました。おかげさまで,この一冊で骨・軟骨の構造・機能から病態にわたって,最先端の知見を広く俯瞰できる内容になりました。
本特集号ではさらに実験講座として,築地真也先生からケミカルバイオロジーによる細胞内シグナルの新しい活性化ツールをご紹介いただきました。本特集のテーマである組織構築や疾患病態の研究をはじめ,幅広い応用が期待できそうです。ご執筆いただいたすべての先生方に,心より感謝申し上げます。
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