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あとがき
岡本 仁
pp.392
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760040392
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今回は,「味と匂いの脳科学」というテーマで,理化学研究所脳神経科学研究センターの吉原良浩先生に編集をお願いしました。執筆してくださった先生方は,いずれの分野の研究でもトップランナーとして研究をされている方々で,情報処理回路形成から高次脳機能処理に至る分野を,それぞれの筆者に深く掘り下げて総説していただくことができました。テレビや雑誌には,どこの店のどんな料理が,どう美味しいかの情報であふれています。これを見聞きしている日本の国民の多くが,食に対して極めて研ぎ澄まされた感覚を持っています。現在の日本は,1億総グルメと言っても過言ではありません。本特集号で集約された世界最先端の研究が日本で行われているのも,味と匂いに対して旺盛な興味を持つ人々の広い裾野に支えられているからかもしれません。さらに,嗅覚研究において先端を切り開かれたお二人の研究者が執筆してくださいました。坂野仁先生には,嗅覚認知の神経回路が遺伝子と経験によってどのように形成されるのか,ご自身の研究史を基に総説していただけました。森憲作先生には,匂いが脳で統合されて認知されるしくみに関する大胆な仮説を提唱していただけました。このような大迫力の特集を組んでくださった吉原先生には,感謝してもしきれません。読者の皆様におかれましては,是非第一線の研究者の皆さんと研究の興奮を共有しながら,楽しんで読んでいただければ幸いです。

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