増刊号 眼科診療のピットフォールあるある—対応スキル爆上げのヒント
11.斜視・弱視
上下回旋斜視—遭遇頻度の高い鑑別疾患を徹底解説!
國見 敬子
1,3
,
後関 利明
2,3
1神奈川歯科大学附属横浜クリニック眼科
2国際医療福祉大熱海病院眼科
3北里大学医学部眼科学教室
キーワード:
sagging eye syndrome
,
上下回旋斜視
,
眼窩プリー
,
上斜筋麻痺
Keyword:
sagging eye syndrome
,
上下回旋斜視
,
眼窩プリー
,
上斜筋麻痺
pp.311-319
発行日 2025年10月30日
Published Date 2025/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790110311
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はじめに
成人における上下斜視の有病率は高く,近年では約半数に上下偏位を認めると報告されている1,2)。なかでも,sagging eye syndrome(SES)に伴う微小上下回旋斜視(cyclovertical strabismus:CVS)は,加齢性変化に起因する後天斜視の代表的病型であり,斜視角が小さいにもかかわらず複視の自覚が強く,その反面,見た目には目立たないため診断に難渋することが少なくない。また,近年の各国からの報告では,SESは後天斜視の第1位を占めており,遭遇する可能性も高いため,その病態理解は重要である(表1)2〜4)。一方,上斜筋麻痺や甲状腺眼症も同様にCVSを呈することから,これらとの鑑別診断も臨床上きわめて重要である2〜4)。本稿では,SESおよび上斜筋麻痺に焦点を当て,診断と治療における留意点を概説する。

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