Japanese
English
特集 神経眼科の最前線
新たなる複視の原因
-――Sagging eye syndrome
New cause of dipoplia
――Sagging eye syndrome
國見 敬子
1,2,3
,
後関 利明
1,3
Keiko KUNIMI
1,2,3
,
Toshiaki GOSEKI
1,3
1国際医療福祉大学熱海病院眼科
2東京医科大学眼科
3北里大学眼科
キーワード:
Sagging eye syndrome(SES)
,
眼窩プリー
,
アイフレイル
,
開散麻痺
,
上下斜視
Keyword:
Sagging eye syndrome(SES)
,
眼窩プリー
,
アイフレイル
,
開散麻痺
,
上下斜視
pp.798-804
発行日 2023年3月11日
Published Date 2023/3/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28410798
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Sagging eye syndrome(SES)は,挙筋腱膜などを含む眼周囲組織の加齢性変化で発症する斜視である.SESは,眼球を取り囲む眼周囲組織と類似した病理学的組織を持つ眼窩プリーという靱帯が変性することで発症する.外直筋(LR)プリーが下垂することでLRと上直筋(SR)を結ぶLR-SRバンドが伸展,断裂する.LRの下垂とLR-SRバンドの変性が左右同程度であれば開散麻痺様の内斜視,非対称であれば微小上下斜視となる.どちらのタイプも原因不明と診断されることが少なくない.また,本疾患は加齢性変化であるため高齢者に多く,日本,米国,韓国ともに後天斜視発症の第1位であると報告されている.診断には特徴的な顔貌所見,開散麻痺様内斜視and/or微小上下斜視,衝動性眼球運動が正常であることが重要で,基本的にはMRIは必要としない.しかし,滑車神経麻痺や近視性斜視の鑑別には治療法が異なるため,MRIが必要となることもある.
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