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PHCへの結核統合に関する参加型アクションリサーチ第2弾
専門機関の結核センターでなく、全国の郡保健センター(すなわちプライマリ・ヘルスケア〔PHC〕レベル)で結核の診断・治療を行うというバングラデシュの対策は、国際保健機関(World Health Organization: WHO)の強力な支援の下で始められた。しかも4郡での実証試行(demonstration)がうまく行くことを見据え、一気に40地域に拡大してゆくというスピードで進められていった。私は、アッサン・アリ結核対策課長の強い要望で、この新プロジェクトと並行して、参加型アクションリサーチ第2弾を始めることになった。私の年間2回の訪問に合わせて、プロジェクトの進行状況を質的に評価・検討してゆくものである。こういったオペレーショナル研究の必要経費はWHO/世界銀行プロジェクトでは予算化されていなかったので、私が厚生省から頂いた国際協力研究費*1で賄うことにした。ただ実質的にはそれぞれの組織の経常費で賄えるところも多かったので、出費は少額で済んだ。
やり方としては、上記の4つの実証地域から、首都ダッカからあまり遠くない2つの郡(アライハザール郡、ショナルガオン郡。共に人口は29万人)を選び、関係者が集まってワークショップ(研究会議)を開催し、結核活動の成果を発表し合い、課題や問題を自由な立場で検討し合うことにした。そこには、ダッカ県衛生部長や、WHOの医官、両郡の保健センターの医師をはじめ、薬剤師、フィールドスタッフの代表などプロジェクトに関係する人たちが集められた。成果の発表や討論では、命令や叱責は抜きにして、正直な思いをぶつけ合い、プロジェクトの進展に役立つ出来事や問題、課題を話し合った。そのワークショップの数日前には、私を含め、外部・内部研究者役のメンバー数人が、結核活動の実際を見るために両郡保健センターを訪問した。

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