連載 Go to the people——バングラデシュと共に歩んだ私の国際保健50年【新連載】
第一編
石川 信克
1,2
1公益財団法人結核予防会
2公益財団法人結核予防会結核研究所
pp.688-692
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210090
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連載のはじめに
本連載は、ひ弱だった私が、何とか戦後を生き延びて、医師を志し、思いがけず結核を通して地域保健や国際保健に関わってきた歩みをつづる拙い半生記である。人は、真実に生きる人との出会いの中で、息を吹き込まれて、お金や名誉や自分の利益を越え、生き方を変えられ、力を得て歩む。また、おのれの失敗や破れを通して、弱さに生きることを覚え、他者と共に生きる道を選ぶ。だからこれは結核という一つの疾患に関わる中で、私という一個人がどう歩んできたのか、その軌跡でもある。
主な舞台はバングラデシュである。大きな軸としては、結核対策を縦軸、プライマリヘルスケアを横軸に、国や時代を越えて変わらないもの、試行過程を通して学んだこと、まだ完成していないが後輩に引き継ぎたいもの、そして真実に迫るものについて、述べてみたい。地域保健や国際保健を志す若い方々に、少しでも参考になればと願い、バングラデシュに行く前から始め、そこでの経験を一つの山として、その後の他の国々との関わりも含め、私が国際保健をどう経験してきたか、まとめてみよう。
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