実践報告
実習インシデント分析を活用した基礎看護学実習Ⅲ前教育の実践—4つのリスクカテゴリーによる学生のリスク予見能力の育成
齋藤 優
1,2
,
佐藤 裕美
3
1昭和医科大学附属横浜看護専門学校
2旧所属 学校法人岩崎学園 横浜実践看護専門学校
3学校法人岩崎学園 横浜実践看護専門学校
pp.622-626
発行日 2026年10月25日
Published Date 2026/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.004718950670050622
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はじめに
看護基礎教育において、看護過程の展開は、対象を個別的に捉え、根拠に基づいた看護を実践するための基盤となる重要な学習である。当校の「基礎看護学実習Ⅲ」は、学生が初めて1人の患者を受け持ち、アセスメントから計画立案・実施・評価までの一連の過程を経験する実習である。看護学生が、専門職としての責任を具体的に意識し始める時期である。
実習に臨む学生には、情報収集や看護過程の展開、日々の看護実践における記録作成といった課題への対応に意識が集中しやすく、臨床現場に内在する動的なリスクの予見や、倫理的判断が後回しになりやすいという課題がある。実習前教育において、安全管理の重要性は繰り返し伝えられ、さらに医療安全の講義を受講しているが、その多くは一般的な注意喚起やルールの提示にとどまり、学生自身が「自分の行動がどのようなリスクを生み得るのか」を具体的に想像する機会は十分とはいえない。
実習中に報告されるインシデントの中には、明らかな知識不足や手技の誤りではなく、学生の「良かれと思った行動」が結果として患者や施設に影響を及ぼし得た事例も多く含まれる。これらの事例を、学生の失敗経験として終わらせるのではなく、教育的視点から捉え直すことで、リスク予見能力を育成する貴重な学習資源になり得る。
本稿では、本校で過去5年間に蓄積された実習インシデント事例を分析し、4つのリスクカテゴリーに分類した上で、実習前のオリエンテーションに活用した教育実践について報告する。

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