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はじめに
日本における出生数は急速に減少しており、2024年の出生数は約686,000人と、前年より約4万人減少しました。こうした状況を受け、看護学生が実習中に分娩を見学する機会も減少しています。帝京大学福岡医療技術学部看護学科(以下、本学)では、学部教育の中で助産師教育を行っており、3年次後期に「母性看護学実習」を履修した後、4年次に分娩期の助産ケアについて学習します。母性看護学実習において、分娩見学ができない助産課程の学生(以下、学生)は、分娩に対する十分なイメージを持てないまま、助産ケアを学習せざるを得ない状況です。学生が産婦の身体面・精神面の状況や分娩場面を認識し、産婦の気持ちに寄り添ったケアについて考え、分娩経過に応じた助産ケアを実践する能力を養うためには、現状に応じた学習方法の見直しが必要と考えました。
これらの課題を解決するために、Virtual Reality(以下、VR)技術に着目しました。VRは、現実世界を模倣した仮想空間でのインタラクティブな体験を提供するツールです。VR技術を活用した学習は、没入感の中でリアルな学習体験ができるため、自己調整(自分自身の学習に能動的に関わり、自らの学習を調整する)という深い理解に結び付くような学習方略を促すことができる1)といわれています。
現在では、VRはエンターテインメントだけでなく、防災教育2)、歴史教育3)、苦手克服トレーニング4)などに広く用いられるようになりました。看護学教育においては、実習前に転倒のインシデント事例をVR動画で体験する学習方法5)やVR動画を用いて認知症および高齢者の疑似体験をする方法6)、熟練看護師の看護技術を体験できるVR動画教材の開発7)などの取り組みがなされています。
このような背景をふまえ、本学では、産婦視点のVR動画を用いた教材を作成し、学生が産婦の立場になって気持ちに寄り添いながら考えることを目的として、教材開発に取り組みました。本稿では、VR動画の作成過程および授業への導入と効果について紹介したいと思います。

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