特集 生命科学へのアプローチ
科学技術の進歩と人間--助産婦として考える
予見する力を持ちえていたい
今関 節子
1
1群馬大学医療技術短期大学部看護学科
pp.33-36
発行日 1982年1月25日
Published Date 1982/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205954
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I.生命科学との出会い
1977年に板倉啓壱博士が,大腸菌にインシュリンや成長ホルモンを大量につくらせることに成功した。この報道が,わが国のマスコミ界で「生命科学」に関する話題の,にわかに盛りあがるきっかけとなった。
その後,インフルエンザワクチン,マラリアワクチン,B型肝炎ワクチンの生産という話題が,次々に続くなかで,1980年,谷口維紹博士がインターフェロンの遺伝子を大腸菌に組み込むことに成功したニュースには,私自身深く驚嘆したものである。なぜなら,その前年,ある講演会でたまたま「インターフェロンが生体へのストレスにより,その反応としてごく微量にしかつくれないものであるが,人類最後の生命を救い得る可能性のある物質でしょう」との話を聴いた後だったからである。
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