実践報告
グリーフケアの産着製作を通しての看護倫理教育の効果
森田 莉子
1
,
大橋 知子
1
,
椎葉 美千代
1
,
中村 登志子
1
,
富﨑 祥子
1
,
井上 さくら
1
,
浦 容子
1
1帝京大学福岡医療技術学部看護学科
pp.500-503
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.004718950660040500
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はじめに
帝京大学福岡医療技術学部看護学科(以下、本学)では、選抜制で助産師課程を設けており、2025年3月に8期生が助産師資格を取得して卒業しました。母性看護学・助産学領域の教員は「母子やその家族と信頼関係を築き、対象者に合ったケアを主体的に考え、対象者が本質的に持っている力を引き出すことができる」助産師育成を目指しています。
周産期におけるグリーフケアとして、流産や死産を経験した母親および家族に対するケアがあります。日本における妊娠確認後の流産は約15%、妊娠を自覚する前に起こる流産を含めると全妊娠の約30%が流産であると考えられています。日本における2023年の死産率は20.9で、前年よりもやや上昇しています1)。2020年度の子ども・子育て支援推進調査研究事業「流産や死産等を経験した女性に対する心理社会的支援に関する調査研究」2)によると、流産や死産を経験した女性の悲嘆は深く、約70%の母親が長期にわたってつらさを感じており、支援が必要であることが明らかになりました。
今回、助産師課程の講義で、流産や死産をした子どものための産着制作を行いました。産着製作は、周産期におけるグリーフケアについて理解を深めるだけでなく、看護の基本となる倫理観の育成につながっていました。本取り組みが助産師教育だけではなく、他領域のグリーフケアの教育にも導入可能な内容であると考え、具体的な講義内容と効果について紹介したいと思います。

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