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はじめに
看護職は、知識・技術に加えて高い倫理観と人間性を要する専門職である。したがって、看護系大学における初年次教育では、看護の本質や専門職としての自覚を早期に育成することが求められる。入学直後の学生にとって、「看護とは何か」を自ら考え、仲間と共に探究するチュートリアル科目は、学修の基盤形成において重要な役割を果たす。
筆者らは2023年度に「チュートリアル科目を通しての学び合いの教育実践—実践力のある看護職の育成を目指して—」1)を報告し、学生同士の主体的な学び合いを中心とした教育実践の成果を示した。
近年、入学直後の学生と向き合う中で、「看護師になりたい」という思いは持っているものの、その具体像を十分に描けないまま学修を始めている学生が少なくないと感じている。インターネットやSNSを通して看護に関する情報に触れる機会は増えている一方で、実際に看護師がどのような思いで患者と向き合い、判断し、行動しているのかといった“看護の現場の語り”に触れる機会は限られている。こうした学生の姿を前に、看護の専門性や倫理を知識として教える以前に、「よい看護師とは何か」という問いを自ら立て、考え始める経験を初年次にどのように保障できるかが、筆者自身の課題となっていた。
本授業は、広島国際大学看護学部看護学科の1年次必修科目「チュートリアル」である。目的は、臨地看護師との対話を通して、学生が看護の専門性・倫理観・キャリア形成について早期に考える機会を持ち、自らの将来像を具体化することにある。特に、臨地のリアリティを学びへとつなげる教育的意図を重視した。
本稿では、この目的のもと、臨地で活躍する専門看護師および認定看護師と協働し、初年次学生が「よい看護師とは何か」を考える過程を通して得られた学びの特徴を報告する。

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