特集 公衆衛生のリーダーシップ
公衆衛生における保健師のアイデンティティ
平野 かよ子
1
1長崎県立大学
pp.14-17
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208096
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保健師の現状
公衆衛生領域で最大多数をしめる専門職は保健師である.保健師は一般的には高等学校卒業後,3年間の看護師養課程を修了し看護師の免許を持ち,保健師養成機関で1年以上の公衆衛生看護の教育を受け保健師免許を持つ者である.現在の保健師免許取得者の97%は看護系大学卒業者である.2014年度には大学院修士課程で保健師養成を行っている大学が5校になり,高度専門職業人として養成する流れが始まってきている.保健師の資格は1941(昭和16)年保健婦規則の制定から始まり,1948(昭和23)年には保健婦助産婦看護婦法で規定されるようになり,資格が制定されて2015年で74年目を迎える.保健所,市町村に配属されている保健師数1)は2012年度末現在で全国で45,645人である.保健師の活動は「ふみしめて七〇年」2)に実践者による活動記録が掲載され拡大していることが把握できるが,年代別の保健師活動の領域の広がり3)を図1に示した.戦前の結核対策や蚊とハエのないまちづくり,母子保健等の予防活動から,昨今では生活習慣病,難病,虐待,自殺・うつ等のこころのケア対策,災害時保健活動,健康なまちづくり,健康増進計画をはじめとした各種計画の策定へと広がっている.
このような保健師ではあるが,年々保健師の公衆衛生の理解が脆弱化し,公衆衛生マインドが継承し難いとの声が聞かれる.「公衆衛生」という言葉は,新型インフルエンザの流行やデング熱の発生が国内の問題になるとニュースで用いられるが,日常的には聞かれないものとなってきている.しかし保健師は“公衆衛生の担い手”でありたいと思い,その活動論は「公衆衛生看護学」にある.
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