特集 未来型デジタル健康活躍社会の到来と日本版看護診断
Ⅲ 日本版看護診断とこれからの研究の方向性
日本版看護診断「安楽の変調:疼痛」に関する情報と実践・評価・研究
西田 直子
1
1京都先端科学大学健康医療学部
pp.557-559
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002283700580060557
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
安楽の変調
安楽は,身体的,心理スピリチュアル的,環境的,文化的,または社会的な側面における安心,緩和,および超越している感覚(Carpenito/黒江監訳,2018)をいい,その状況が欠如,変調している場合を安楽の障害または変調としている。本稿では,日本でよく使用されている疼痛(急性疼痛や慢性疼痛)について述べる。疼痛の定義は,「実際に何らかの組織損傷が起こったとき,あるいは組織損傷が起こりそうなとき,あるいはそのような損傷の際に表現されるような,不快な感覚体験および情動体験」(日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン委員会編,2014)と一般化されているが,「痛みとは,それを体験している人が痛いと訴えるもののすべてである。それは,痛みを体験している人が痛みであると訴えるときはいつでも存在しているのである」(McCaffery & Beebe, 1989/季羽監訳,1995)が以前から紹介されている。
疼痛は急性疼痛と慢性疼痛に分けられ,急性疼痛とは,「持続期間が短く急激に重度の不快感(痛み),その状態が存在すること」,慢性疼痛とは,「治療に要すると期待される時間の枠組みを超えて持続する痛みであること」と,疼痛の持続時間によって分けられている。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

