特集 【研究する人間】木下康仁先生の功績と足跡
Ⅰ.研究者として,教育者として—木下康仁先生との在りし日
Ⅰ-4 ヘルスヒューマニティーズ
「人が生きる力とは何か,それは何によってもたらされるか」—木下康仁先生から託された問い
糟谷 知香江
1
1聖路加国際大学大学院看護学研究科
pp.59-62
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002283700580010059
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私は,ヘルスヒューマニティーズ(Health Humanities: 以下HH)の仕事を中心に,木下康仁先生(本稿では,文献の引用においては「木下」,それ以外では「木下先生」と表記することをご容赦いただきたい)にとっての最晩年の数年間を,聖路加国際大学の同僚としてご一緒させていただいた。本学の看護学研究科では,2018年1月に策定された計画に基づいてHHへの取り組みが本格化し,まず井上麻未教授(英文学)およびJeffrey Huffman准教授(応用言語学)が,英米のHHについて紹介する役割を担った(木下, 2022)。学内にHH検討委員会が設置され,科目開講等の具体的な検討が行われるようになり,私も一委員として参加することとなった。2022年からは,それ以前もHH検討委員会の一委員であった社会学を専門とする木下先生がリーダーシップを担い,HHを推進することになった。直後には,健康と病いの語りについての活動・研究を推進している射場典子准教授も参加することになった。
木下先生は,約1年間の準備期間を経て2023年度に修士課程においてHHと関連する3科目(ヘルスヒューマニティーズ概論I/同II/健康と病いの語り概論)の開講を実現した。これらの科目は看護学研究科の中の「基盤領域」と呼ばれる部署に所属する教員の中の有志の者に加え,各回の講義内容に応じて学外の専門家が担当する形で構成されている。

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