Japanese
English
症例報告
陥入爪により診断が困難であった爪甲下有棘細胞癌の1例
A case of subungual squamous cell carcinoma with diagnostic difficulty due to ingrown nail
山本 惇
1
,
芳賀 貴裕
1
Jun YAMAMOTO
1
,
Takahiro HAGA
1
1気仙沼市立病院皮膚科
1Divison of Dermatology, Kesennuma City Hospital, Kesennuma, Japan
キーワード:
爪甲下有棘細胞癌
,
有棘細胞癌
,
陥入爪
,
爪囲炎
Keyword:
爪甲下有棘細胞癌
,
有棘細胞癌
,
陥入爪
,
爪囲炎
pp.831-834
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730790110831
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要約 70歳,女性.4年前から繰り返す右手環指の陥入爪を主訴に当科を受診した.初診時,右手環指の第3指間側の側爪郭基部に,紅色結節を認めた.陥入爪に伴う爪囲炎と診断し,以後4年間にわたり,陥入爪手術や局所外用療法を継続したが,病変は完全に治癒せず,側爪郭の紅色結節や亀裂が持続した.経過から悪性腫瘍の可能性を考慮し,当初不良肉芽と考えた紅色結節の切除生検を実施した.その結果,角化傾向を示す異型細胞が,不整形な充実性胞巣を形成するように増殖しており,爪甲下有棘細胞癌(subungual squamous cell carcinoma:SSCC)と診断した.拡大切除後に,二期的にチールシュ植皮による再建を施行した.SSCCは慢性爪囲炎と類似した臨床像を呈することがあり,診断の遅れにつながることがある.陥入爪に伴う難治性の爪囲炎を認めた場合には,SSCCを鑑別に皮膚生検し,病理組織を確認する必要がある.

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