Japanese
English
症例報告
爪甲下に生じた有棘細胞癌の2例
Two cases of subungual squamous cell carcinoma
幸田 紀子
1
,
堀 和彦
1
,
長井 泰樹
1
,
幸田 公人
1
,
上出 良一
1
,
中川 秀己
1
Noriko KODA
1
,
Kazuhiko HORI
1
,
Yasuki NAGAI
1
,
Masato KODA
1
,
Ryoichi KAMIDE
1
,
Hidemi NAKAGAWA
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
1Department of Dermatology, The Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
爪甲下
,
有棘細胞癌
Keyword:
爪甲下
,
有棘細胞癌
pp.59-62
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412101568
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要約 症例1:75歳,女性.初診の約2年前に右母指爪甲の紅色線条が出現した.近医で爪囲炎と診断され外用治療を行ったが,爪甲下に腫瘤が出現したため受診した.爪甲下に圧痛と悪臭を伴う境界不明瞭な隆起性淡紅色腫瘤を認めた.単純X線で骨融解像はない.組織像は高分化,角化型の有棘細胞癌であった.深部断端陽性のため,右母指離断術,右腋窩リンパ節郭清術を施行した.リンパ節転移はなかった.術後1年1か月の現在,再発転移はない.症例2:80歳,男性.4年前に左母指爪甲下に黄色斑が出現した.近医で外用治療を行ったが,腫瘤が徐々に増大したため受診した.爪甲下に痂皮の付着する紅色腫瘤を認めた.単純X線で骨融解像あり.左母指離断術,左腋窩リンパ節郭清術を施行した.組織像は高分化から中分化の有棘細胞癌であった.リンパ節転移はなし.術後1年の現在,再発転移はない.爪甲下の有棘細胞癌の初期病変は肉眼的に診断が困難であり,爪床部の難治性皮膚病変は常に本症を疑い,積極的な生検を考慮すべきである.
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