Japanese
English
症例報告
放射線療法が奏効した破壊型基底細胞癌の1例
A case of basal cell carcinoma successfully treated with radiotherapy
田中 宏治
1
,
永井 貴子
1
,
塩道 泰子
1
,
井手 豪俊
1
Koji TANAKA
1
,
Kiko NAGAI
1
,
Yasuko SHIOMICHI
1
,
Taketoshi IDE
1
1飯塚病院皮膚科
1Division of Dermatology, Iizuka Hospital, Iizuka, Japan
キーワード:
破壊型基底細胞癌
,
放射線療法
Keyword:
破壊型基底細胞癌
,
放射線療法
pp.304-308
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730790040304
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要約 67歳,女性.顔面の潰瘍を主訴に,当科を受診した.約10年前から,左鼻根部に潰瘍を自覚するも放置していたところ,潰瘍が拡大してきた.初診時,左鼻根部を中心に14×7 cmの巨大な潰瘍を形成しており,左鼻翼は欠損していた.生検で異型な基底細胞様細胞が表皮と連続性を持って増生し,大小不整の充実性の胞巣が真皮内にまで達していた.また,モルフェア型の組織も混在していた.CTで左頰部皮下から深部にかけて,左上顎骨内側部〜左上顎洞前壁に基底細胞癌と考えられる骨破壊を伴う不整形の軟部組織腫瘤があった.臨床像,検査所見より破壊型基底細胞癌と診断した.手術の適応はないと判断し,放射線療法を施行したところ,潰瘍が縮小した.一般的に予後良好とされる基底細胞癌であるが,長期間の放置により自験例のような比較的稀な破壊型の基底細胞癌に進展し,根治切除が困難な症例に対して,放射線治療の有効性が示されたと考えた.

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