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雑誌
社会保険旬報 №2975
《論評》「社会保険料の負担への合意を得るための2つの壁―世論調査から分かること」岸下大樹
社会保険研究所
電子版ISBN
電子版発売日 2025年9月12日
ページ数 50
判型 B5
印刷版ISSN 1343-5728
印刷版発行年月 2025年9月
書籍・雑誌概要
《論評》「社会保険料の負担への合意を得るための2つの壁―世論調査から分かること」岸下大樹
ここ数年、社会保険料の負担に関する不満が現役世代で高まっているといわれる。こうした不満を反映してか、個人事業主が社会保険料負担を節約する方法として「マイクロ法人」の設立を行うという手法がインターネット上で広まっている(朝日新聞2025年7月2日「『社会保険料が7万円安くなった』制度の信頼揺らぐ手法に懸念の声」)。実際、少子高齢化の進展に伴い、社会保険料の負担は着実に増加してきた。1998年には、2人以上からなる勤労者世帯では収入の6〜7%に過ぎなかった負担割合は、2023年には11〜12%に達している[是枝・平石(2025)]。こうした中、名目賃金が上昇しても手取り額が思ったほど増えないと感じるひとも多い。
このような状況は「ステルス増税」と呼ばれて批判され、2025年7月の参議院選挙でも社会保険料の引き下げは争点の一つとなった。例えば、日本維新の会は、国民医療費の総額を年間4兆円程度削減し、社会保険料負担を6万円程度引き下げることを主要な公約に掲げて選挙を戦った。こうした維新の主張を「念頭に置く」ことを明記し、社会保険料改革に取り組むことに合意した文書を自民・公明・維新三党は2025年2月に交わしている。
今後、少子高齢化が一層進展していく中で、現在の給付水準をある程度維持していくならば社会保険料の増加は避けられない。厚生労働省による「令和4年社会保障に関する意識調査」によれば、社会保障の水準を一定維持するためにある程度の負担増を行うことはやむを得ないと考えている人は20代では54・2%、30代では55・6%である。これを多いとみるか、少ないとみるかは議論の余地が分かれるが、少なくとも国民全体の合意として負担増を受け入れている状況ではない。
それでは、人々が社会保険料のさらなる負担に合意するのは、どのような条件の下なのか。本稿では、この問いについて、世論の動向という観点から考える。その際、社会保険のうち特に医療費・医療保険に焦点を与える。日本維新の会の公約にあるように、医療費の増大をどう抑制するかはここ数年大きな注目を集めており、実際、政策面でも、高額療養費制度の見直しが政府によって試みられるなど大きな動きがみられるからだ。
目次
《視点》かかりつけ医機能の報告や評価は市民目線で
《座標》予算概算要求は約34兆8千億円/スマホ資格確認の取り扱いを答申
《座標》厚労省の2026年度税制改正要望/医療機関の2年計の賃金増率3.40%
《動向》MCDBを用いて医療機関の経営悪化の状況を把握―令和8年度診療報酬改定に向けた議論
《論評》「社会保険料の負担への合意を得るための2つの壁―世論調査から分かること」岸下大樹
《ジュネーヴからの便り》(25)「個別面談」中谷祐貴子
《レコーダ》厚労省の新局長らへ共同インタビュー 朝川年金局長「公的年金の所得再分配機能強化が中長期的な最大課題」
《潮流》診療報酬改定の基本方針、議論開始
《潮流》医療経済研究機構がセミナー開く
《潮流》訪問看護ステーションの現状と課題
《潮流》医薬品関係の予算概算要求を公表
《特別レポート》四方よしのタスクシフトや医療の質向上でAIを活用(都立広尾病院の小坂医師にきく)
《NEWS》医療保険部会が「スマホ保険証」の利用で意見交換
《第62回診療報酬請求事務能力認定試験》医科・実技試験問題の解答と解説
《雇用・労働の動き》
《編集室・ワードカプセル》「マイナポータル」