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社会保険旬報 №2927
《論評》 『病院経営医療法人への新型コロナ流行による財務的影響の経年変化―第1-2波期から第3-5期を経て第6-7期の影響への変遷―』荒井耕
社会保険研究所
電子版ISBN
電子版発売日 2024年5月11日
ページ数 42
判型 B5
印刷版ISSN 1343-5728
印刷版発行年月 2024年5月
書籍・雑誌概要
《論評》 『病院経営医療法人への新型コロナ流行による財務的影響の経年変化―第1-2波期から第3-5期を経て第6-7期の影響への変遷―』荒井耕
新型コロナはすでに5類感染症となり流行への関心は薄れつつあるが、流行による医療機関への財務的影響を多様な観点から分析し、将来の新興感染症流行に際して歴史的教訓として生かせるように、その知見を遺しておくことは意義深い。新型コロナ流行に関わる事後検証が現在各分野で進められており、流行関連補助金の効果を含む医療機関への財務的影響についての分析も進められつつある(荒井、2023)。しかし病院を経営する医療法人という財務的に運命共同体である経営体を単位として、その経営類型を区分しつつ、新型コロナの流行期間との対応を考慮した会計期間(決算期)設定をして、流行前から流行後3年目までの中長期的な財務的影響の変遷を分析した研究はまだ見られない。
医療機関の財務状況を明らかにする代表的な公的調査である中央社会保険医療協議会による「医療経済実態調査」は、法人を単位として経営類型別に分析することはしていないし、もともと新型コロナ流行の影響把握ではなく診療報酬改定の影響把握を目的としているため、流行期間ではなく財政年度に対応した会計期間設定となっている。また2年ごとの無作為抽出調査であるため、同一調査内の2年間の財務的影響の変化しか基本的には分析できない。加えて、「医療経済実態調査」は、損益面のみを分析しており、財務健全性や資産効率性などは分析していないし、基本的に平均値の分析に限定され、分析対象群ごとの四分位範囲などのばらつきは分析されていない。
こうしたなか、確かに、荒井(2023、第2章)は、病院経営医療法人を対象として、その経営類型別に、新型コロナ流行第1波から第2波を含む会計期間に限定した多様な財務面の影響分析をしている。ただしこの調査研究は、第1波および第2波による影響を受けていた会計期間(令和2年8―12月決算期)における影響の分析に限定されており、その後の流行下における財務的影響は分析されていない。
そこで本稿では、第3波から第5波の影響を受けた会計期間(令和3年8―12月決算期)、第6波から第7波の影響を受けた会計期間(令和4年8―12月決算期)をも対象とした影響分析を実施することで、流行前、第1波から第2波、第3波から第5波、第6波から第7波という連続する4つの流行時期環境下の各会計期間における財務的影響の変遷を明らかにする。
目次
《視点》 保険薬局は病院敷地外に出よ
《座標》 日病協が物価高騰の危機感訴える/支払基金がマイナ救急の機能構築へ
《座標》 75歳以降は2000万人超える/がん検診受診率「肺がん」6.0%に
《論評》 『病院経営医療法人への新型コロナ流行による財務的影響の経年変化―第1-2波期から第3-5期を経て第6-7期の影響への変遷―』荒井耕
《レコーダ》 『日医が第1回在宅医療シンポ 在宅医療が支える暮らし住み慣れた地域の中で』
《動向》 『柔整・あはき療養費 令和6年度改定率プラス0.26%に―社保審専門委が料金改定案を了承』
《ジュネーヴからの便り》 『ジェンダー』中谷祐貴子
《潮流》 7年度医学部臨時定員の方針を了承
《潮流》 健保組合の6年度予算は▲6578億円
《NEWS》 財務省が介護保険制度改革の考え方を提示 ほか
《資料》 財務省が医療提供体制改革の考え方を提示
《年金の動き》 年金数理部会が令和4年度の公的年金財政状況報告をとりまとめる ほか
《雇用・労働の動き》 法務省が外国人共生社会で初調査 4割以上が外国人受け入れ環境に懸念 ほか
《編集室 ワードカプセル》 『医療・介護保険における金融所得の勘案』