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明日から実践できる!! 脳卒中の評価と治療

明日から実践できる!! 脳卒中の評価と治療
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筆頭著者 青木 啓一郎 (編著)

昭和大学保健医療学部作業療法学科講師

金芳堂

電子版ISBN

電子版発売日 2022年10月5日

ページ数 155

判型 B5

印刷版ISBN 978-4-7653-1922-5

印刷版発行年月 2022年10月

DOI https://doi.org/10.50910/9784765319225

書籍・雑誌概要

「上肢機能に悩んでいる」「肩の痛みに対して対応方法が知りたい」「姿勢評価ができない」「歩行に対する介入ポイントが知りたい」「車椅子の評価をしてみたい」「高次脳機能障害の統合と解釈がわからない」「リハビリ拒否があって離床が進まない患者に困っている」……など、新人・若手がよく悩む、脳卒中特有の問題を取り上げ、わかりやすく簡単に解説しました。臨床現場ですぐに明日から実践できるよう、要点を簡潔にまとめた【POINT】を随所に設けた、理解しやすい構成です。また、エビデンスに着目しつつも、エビデンスの基準に該当しない脳卒中者や、エビデンスの実践が困難である病院・施設でも取り組める内容となっています。脳卒中のリハビリテーションに関わる、初学者から新人・若手のセラピストに最適の入門書です。

序文
脳卒中者の評価と治療に悩んでいるセラピストの皆さんへ

私は、学生時代の臨床実習から現在に至るまで、脳卒中者を担当させていただくことが多い。本書を手にした皆さんも脳卒中者を担当し、臨床経験を積む機会が多いことだろう。また臨床だけでなく、日本リハビリテーション医学会、日本作業療法学会などの研究分野においても、脳卒中の演題数が上位にあるのは揺るぎない。

新人や若手で脳卒中者を任される場合、自分一人で対応することは難しく、先輩や上司のアドバイスがないと困惑することがあるだろう。私も新人時代、脳卒中の評価や治療に対して、どこから手をつけるのが妥当か悩んだ経験がある。特に、ボトムアップやトップダウンの使い分けは難しく、全体の問題を統合し、身体構造のみならず活動・参加・環境因子・個人因子を踏まえて解釈するのは容易ではない。それくらい脳卒中のリハビリテーションは、多角的な視点が求められるのだ。

その中で『脳卒中治療ガイドライン』は臨床実践において参考にすべき重要な情報である。しかし臨床では脳卒中者の状態は一様ではない。特にリハビリテーションの分野であれば、エビデンスに基づいた実践を行うための医療体制が整っていないところも多く存在する。そのため、患者の個別性に配慮した判断をある程度は理解するべきだと認識している。

本書は、急性期・回復期・生活期といった分野を限定せず、脳卒中者に関わる新人・若手の作業療法士(OT)・理学療法士(PT)・言語聴覚士(ST)向けの書籍である。エビデンスにも着目しているが、エビデンスの基準に該当しない脳卒中者や、エビデンスの実践が困難である病院・施設でも取り組めるような内容になっている。

また、「上肢機能に悩んでいる」「肩の痛みに対して対応方法が知りたい」「姿勢評価ができない」「歩行に対する介入ポイントが知りたい」「車椅子の評価をしてみたい」「高次脳機能障害の統合と解釈がわからない」「リハビリ拒否があって離床が進まない患者に困っている」といった新人・若手がよく悩み、そして深く知りたい脳卒中特有の特徴や問題を取り上げている。そのため、前から読み進めなくても自身が悩んでいる部分のページのみを開き学習することもでき、臨床現場ですぐに明日から実践できる・・・・・・・・・ような構成になっている。

そして、各章の【POINT】も役立ててほしい。【POINT】では「簡単に言えばAだよね」「この部分はBを見よう」と内容を簡潔にまとめたもので、学生・新人・若手にも理解がしやすい形で記載をしている。学生・新人・若手に説明が伝わるということは、最終的に患者とその家族にもうまく説明ができるようになることだろう。そのため、【POINT】を拾って読み進めていただくのも良い。

私は臨床に出てから、多くのセラピストと交流する機会を得てきたが、脳卒中の評価と治療は難しいと感じている人が多いと知った。しかも、その中には、ガイドラインなどの学術的な本や論文をあまり読んだことがないといった声も多い。本書はそのような声も踏まえて、臨床現場で悩むテーマに対して「明日から実践できる内容にすること」「難しいことを簡単に伝えること」を目標に定めて執筆を進めている。

そして、私を含めた各執筆者は、臨床・教育・研究・セミナーを通して日々、昨日より一歩前に進めることを目指し励んでいる同志である。そして、本書をきっかけに、読者のセラピストの皆さんもその同志の一人に加わっていただきたいと強く願う。それは昨日より一歩前に進めることが、他でもない明日から関わる「目の前の誰か」に、一歩進んだものを提供できると信じているからだ。

進もう。
ぼくらの一歩が、
だれかの一歩に。

最後に、本書を作成するあたり尽力を頂いた西堀氏はじめ金芳堂の方々に感謝申し上げます。

2022年8月
編著者 青木啓一郎

目次

第1章 上肢機能障害の評価と治療
はじめに
上肢機能における基礎知識
①脳卒中後の上肢運動麻痺
②上肢運動に必要な要素
- 視覚による対象の認識
- 到達運動と操作・把握運動
③上肢運動に必要な機能解剖のポイント
- 肩関節
- 肘関節
- 手関節
- 手指関節
上肢機能における評価と治療
①痙縮について
②上肢機能の予後予測について
- Brunnstrom recovery stage(BRS)からの予後予測
- Fugl-Meyer assessment-upper extremity(FMA-UE)からの予後予測
- 脳画像からの予後予測
③上肢機能評価の種類について
④上肢機能治療について
[症例供覧] 慢性期脳卒中者における上肢機能の評価から治療選択の流れ
おわりに

第2章 上肢疼痛の評価と治療
はじめに
片麻痺患者における疼痛の特徴
①疼痛の発生状況
②疼痛部位
疼痛における基礎知識
①BPSモデルによる痛みの捉え方
②痛みのメカニズム
③時間経過による神経プロセスの変化
④脳卒中者による疼痛に影響する要因
- 中枢神経系の障害
- 運動器の損傷
- 心理・社会的な問題
片麻痺患者における疼痛に関する病態
①疼痛に関わる全身状態
②異常運動パターン
③肩関節痛
- 腱板損傷
- 癒着性肩関節包炎
- 肩関節亜脱臼
④中枢性脳卒中後疼痛(central post-stroke pain:CPSP)
⑤複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)
疼痛に関連する評価の実際
①問診、観察
- 疼痛に関して
- 心理面に関して
- 個人特性・社会面に関して
②運動機能
- 共通評価
- 肩関節評価
③高次脳機能評価
④その他
上肢疼痛における治療の実際
①介入の原則
- 組織損傷が明らかな場合
- 慢性痛へと移行している場合
②介入準備
- 関係性構築
- 目標共有
③介入例
- 他動運動
- 自動介助運動
- 自動運動
④ADL介入
- ポジショニング
- 介助指導
- ADL練習
⑤患者指導
おわりに

第3章 姿勢とバランスの評価と治療
はじめに
姿勢とバランスの基礎知識
①直立姿勢
②姿勢制御
③姿勢制御・バランス能力に関する要素
- 生体力学的要因
- 運動戦略
- 感覚戦略
- 空間定位
- 動的バランス
- 認知過程
- 姿勢とバランスの評価
①観察
②客観的バランス評価指標
- 直立検査
- 脳卒中姿勢評価スケール(postural assessment scale for stroke:PASS)
- trunk control test(TCT)
- trunk impairment scale(TIS)
- functional reach test(FRT)
- Berg balance scale(BBS)
- timed up & go test(TUG)
- balance evaluation systems test(BESTest)
③主観的バランス評価指標
- falls efficacy scale-international(FES-I)
- the activities-specific balance confidence(ABC)scale
④その他
片麻痺患者に対するバランス治療
①体幹機能に対する介入例
②座位バランスに対する介入例
③立位バランスに対する介入例
おわりに

第4章 歩行の評価と治療
はじめに
歩行の基礎知識
①歩行周期とは
- ①初期接地(IC)
- ②荷重応答期(LR)
- ③立脚中期(MSt)
- ④立脚終期(TSt)
- ⑤前遊脚期(PSw)
- ⑥遊脚初期(ISw)
- ⑦遊脚中期(MSw)
- ⑧遊脚終期(TSw)
②重心の上下運動
③ロコモーターとパッセンジャー
④屈伸運動と回旋運動
片麻痺患者の歩行評価
①片麻痺患者の歩行特徴
②歩行周期における着目点
③TStを確保するために必要な立脚期の着目点
④定量的歩行評価の位置づけ
⑤目標設定の重要性
歩行に対する治療アプローチの実際
①IC〜LRに対する治療の一案
- 体幹機能へのアプローチ
- 下肢筋機能へのアプローチ
- トータルコーディネート
②MSt〜TStに対する治療の一案
- 股関節へのアプローチ
- 膝関節へのアプローチ
- 足関節へのアプローチ
- トータルコーディネート
おわりに

第5章 車椅子シーティングの評価と治療
はじめに
シーティングの基礎知識
①シーティングの定義
②リハビリテーションにおけるシーティングの位置づけ
③本邦の現状
「座位」について
①理想的な座位姿勢について
②脳卒中者における座位の特徴
③不良座位における機能・動作面への影響
④予後予測との関係性
シーティングの評価
①シーティングに影響を及ぼす因子
②オムツの影響について
③シーティングの目的
④シーティングの流れ
⑤Hofferの座位能力分類JSSC版
⑥マット評価
- 股関節の評価
- 膝関節の評価
- 足関節の評価
- 腰部・骨盤の評価
- 座位でのマット評価
⑦身体計測
車椅子の種類
①標準型車椅子
②モジュール型車椅子
③介助用車椅子
④リクライニング型車椅子
⑤ティルト型車椅子
⑥ティルト・リクライニング型車椅子
クッションの種類
①プラスチックフォーム材
②ゲル素材
③空気調節型
クッションカバーについて
クッションの使用目的
クッション使用上の注意点
シーティングの適合
- 適合順序
[症例供覧] 外傷性くも膜下出血後の患者におけるシーティングの評価から適合までの流れ
おわりに

第6章 高次脳機能障害の評価と治療
はじめに
高次脳機能障害における基礎知識
①高次脳機能障害とは
②高次脳機能障害のエビデンス
③高次脳機能障害の原因疾患
④高次脳機能の相互関係
⑤脳の理解
- 後頭葉の機能
- 側頭葉の機能
- 頭頂葉の機能
- 前頭葉の機能
- 様式特異性の理解
神経心理学的検査の解釈
①改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(Hasegawa dementia rating scale-revised:HDS-R)
②mini-mental state examination-Japanese(MMSE-J)
③frontal assessment battery(FAB)
④線分二等分試験
⑤線分抹消試験
⑥花模写
⑦立方体模写
⑧trail making test 日本版(TMT-J)
⑨コース立方体組み合わせテスト
⑩仮名ひろいテスト
⑪標準言語性対連合学習検査(standard verbal paired-associate learning test:S-PA)
[症例供覧] 社会復帰を視野に入れて介入した出血性脳梗塞の50代男性
おわりに

第7章 心理面の評価と治療
はじめに
脳卒中後の心理的変化
①脳卒中後の障害受容について
②脳卒中後うつ病(post-stroke depression:PSD)
③脳卒中後アパシー(post-stroke apathy:PSA)
④脳卒中後倦怠感(post-stroke fatigue:PSF)
脳卒中者の心理面の評価
①観察
②問診
③評価スケール
- 老年期うつ病評価尺度(geriatric depression scale:GDS)
- ハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton depression rating scale:HAM-D)
- Zungの自己評価式抑うつ尺度(Zung self-rating depression:SDS)
- 脳卒中うつスケール(Japan stroke scale-depression:JSS-D)
心理面の介入方法
①障害受容の過程(時期)における介入方法
- ショック期・否認期
- 混乱期・葛藤期
- 適応期
②うつ病症状がある方への対応方法について
- 休養または休息
- ストレスと薬物療法
- ストレスとストレスコーピング
おわりに

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