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医療のための安全学入門
事例で学ぶヒューマンファクター
筆頭著者 篠原 一彦 (著)
丸善出版
電子版ISBN
電子版発売日 2019年11月18日
ページ数 174
判型 四六
印刷版ISBN 978-4-621-07526-5
印刷版発行年月 2007年11月
書籍・雑誌概要
医療・バイオ関連事故は種々の要因が複合した組織事故であることが多いにもかかわらず、直近当事者への感情的な責任追求で終わってしまい、科学的解析のなされないことが多い。事故の分析と対策は、当事者のみならずソフト、ハード、環境、マネジメント・・・など、総合的観点が不可欠であり、一般産業界では産業事故防止への真摯な取組みがなされているが、特に医療界においては、懲罰的処分で事をすますことが大勢を占め、医療界の特異性を考慮した「科学的な安全対策」ならびに「安全に関する体系的教育」の整備は不充分であるのが現状である。本書では、医療従事者から学生までを対象に、様々な産業事故を事例として取り上げながら、人間と組織が陥りやすいエラーについて、基本概念から分析手法、科学的対策法までを具体的に論じる。
目次
第1章:なぜいまヒューマンファクターか?
1. 医療事故の現状は
2. 新鋭機墜落の原因とは イースタン401便
3. ヒューマンファクターとは? ヒューマンファクターの定義/SHELLモデル/ハインリッヒの法則とヒューマンファクター
第2章:ヒューマンファクターの基礎
1. エラーから逃れ得ない人間の生理 錯覚/思い込み
2. 人間行動のモデル ラスムッセンによる人間行動の分類/人間の情報処理モデル(ラスムッセン・黒田のモデル)
3. エラーの分類 リーズンの分類/習熟度からみたエラー分類/その他のエラー分類
4. ポピュレーション・ステレオタイプ
5. 意識レベル(橋本のフェイズ分類)
第3章 ハードウエアとヒューマンエラー
1. エラーを導く機械からの教訓 医療の現場では?
2. 安全設計の原則とは フェイルセーフ、フールプルーフ、多重化/安全対策をすり抜けるもの/とまらない安全、とめる安全、とまる安全
第4章 ソフトウエアからみたヒューマンエラー
1. エラーを誘う表示とは みにくい航空図・みにくい道路表示/わからない抗癌剤の教科書
2. 言葉と単位の取り違え
3. 類似した薬品名
第5章 自動化に伴う新たな事故
1. ボーイング757、カリ事故の教訓
2. 病院の電子化とユーザビリティ
3. 新たなるエラー、モードコンフュージョン ハイテク機の墜落と輸液ポンプ
4. 機械とのコミュニケーション ハイテク機と手術用マニピュレータの落とし穴
第6章 ヒューマンエラーと安全教育
1. 一般産業における取組み
2. パイロットの教育 CRM(Cockpit Resource Management)/LOFT(Line Orientated Flight Training)
3. 医学教育の変革 医学教育の近代化と吉岡昭正先生/医学教育の課題
第7章 安全と社会
1. 個人責任から社会責任へ
2. インシデント報告システムと事故調査 航空界のインシデント報告システムと事故調査/シカゴ条約における事故調査哲学/医療における問題点
3. 安全へのグローバルスタンダード マスターシップからスチュワードシップへ/医療界における日本人の業績
あとがき
参考文献