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医学のあゆみ289巻13号
血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
医歯薬出版
電子版ISBN
電子版発売日 2024年7月1日
ページ数 236
判型 B5
印刷版ISSN 0039-2359
印刷版発行年月 2024年6月
書籍・雑誌概要
血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
企画:渡部徹郎(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科病態生化学分野)
・血管,リンパ管の機能不全は,動脈硬化,高血圧,肺高血圧症,浮腫などの疾患を引き起こす.また一方で,過剰形成は,がんや糖尿病網膜症の病態進行を促進する.
・シングルセルRNAシークエンシング技術の進展により,血管を構成する細胞の臓器,疾患における多様性が明らかになるなど,血管研究は大きなパラダイムシフトを迎えようとしている.
・COVID-19でも血管の機能不全が重症化の要因とされたことで,血管の形成や機能を制御するメカニズム解明の重要性は高まった.また,国内において様々な血管疾患への効果的な治療法が開発されつつある.
目次
■血管の形成と制御因子
血管内皮細胞の多様化
血管壁細胞の分化決定メカニズム
VEGFとその受容体システムの血管新生,がん,炎症,妊娠高血圧症候群への関与
Tie2受容体活性化による血管安定化の誘導と血管病治療戦略
TGF-β・BMPファミリーによる血管形成制御と機能維持
Ephrinファミリーによる血管形成制御
抗血管新生因子――血管新生のブレーキ役としての血管新生抑制因子
血管形成・血管新生・成熟化を担う転写制御ネットワーク――内皮エピゲノム環境に基づく転写制御
■血管構築と血管機能・病態
メカノセンシングを介した血管細胞の分化誘導
血流に起因する力学的刺激が創傷治癒過程の血管新生を制御するメカニズム
プロスタグランジンによる血管透過性の制御
造血幹細胞ニッチを形成する新たな血管起源の解明――内皮細胞の起源が血管多様性に与える影響
動脈管の分化と閉鎖の分子機序
■血管の臓器・疾患特異性とその変容の制御機構
シングルセル解析による血管内皮細胞の細胞多様性研究
骨血管の多面性――部位による形態学的,および機能的差異
血管内皮細胞が制御するがんの進展
がんの進展と転移における内皮間葉移行の役割
血管狭窄時の内皮間葉転換の役割
低酸素シグナルによる心血管リモデリング
■リンパ管の形成と関連する病態
リンパ管形成を制御するシグナル
FOXC転写因子によるリンパ管形成制御機構
リンパ管の恒常性維持機構
リンパ管腫の増悪メカニズムに対する考察と展望
■血管の炎症と老化
血管の老化と慢性炎症
動脈硬化性疾患克服に向けた新規脂質異常症治療薬の開発
血管の老化とその治療,再生,若返り――細胞老化の視点から
血管バリア機能の制御による重症感染症治療の可能性
■血管研究のフロンティア
組織微小環境を制御するアンジオクラインシステム
三次元微小血管モデルを用いた組織構築による疾患・生体現象の解明
再構成解析系を駆使した血流による血管新生の生体力学機序の解明
血管機能の代謝調節
■血管疾患と血管を標的とした治療法
IL-6シグナルによる肺動脈性肺高血圧症の病態形成機構
心血管系の恒常性を維持する大動脈弁の役割と弁石灰化メカニズム
遺伝性胸部大動脈瘤・解離とゲノム医療
動脈硬化の病態と治療法の開発――心外膜脂肪組織の治療標的としての可能性
心血管病の炎症における酸化ステロールの分子生物学的役割の解明
高血圧を標的とした治療ワクチンの開発
虚血肢治療用血管再生遺伝子治療製剤の開発
糖尿病性血管障害の発症機序と予防方法
網膜疾患における血管をターゲットとした分子標的治療